葬儀費用は誰が負担?香典は誰のもの?

1 葬儀費用は誰が負担?

葬儀費用の負担者については諸説ありますが、近時有力であるのは、喪主の負担とする説です。判例においても、「葬儀を自己の責任と計算において手配等して挙行したもの(原則として喪主)の負担となると解すべき」とされています(神戸家裁平成11年4月30日審判・家月51巻10号135頁)
もっとも、喪主の方が、あくまで形式的に喪主の席に座っただけにすぎない場合は、実質的な葬式主宰者が自己の債務として、葬儀費用を負担すべきとされています(東京地裁昭和61年1月28日・家月39巻8号48頁)。

2 香典は誰のもの?

香典は、葬儀費用の一部に充てることで遺族の負担を軽くすることにその目的があります。つまり、香典は、葬儀の主宰者として、葬儀の準備や手配を行い、葬儀を実施する責任を行う喪主に対して贈られたものと考えられています。
よって、香典は喪主に帰属するものであるため、相続の対象とはなりません。
なお、喪主が香典を葬儀費用に充当した後、香典に余剰が発生した場合であっても喪主に帰属すると考えられていますので、他の相続人から遺産として分割を請求することはできません。

 

ブログ管理人の一言

4月も終盤、この時期になると司法試験受験をいつも思い出す弁護士の種田和彦です。司法試験日は毎年5月なんですよね、受験生の方々は精神的に追い込まれる時期ですけど、頑張って欲しいですね!